朝鮮半島の長白山(白頭山)縦走  2012年9月14日ー17日

 

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9月14日から3泊4日のアルパインのツアー「長白山縦走」に参加した。リーダーは 幸さんで参加者は8名。福岡組は福岡から上海に飛び、ここで全員集合して長春経由で長白山空港に行く。ここから小型バスで西坡山門のロッジに深夜に着く。 夜は寒くて眠れないので途中でダウンジャヤケットを着た。

翌日は朝5時に起床して朝食を済ましてから車に1時間ほど乗って西坡山門登山口 (2240m)へ。ここと明日行く北坡山門登山口が中国側にある天池(長白山の火口湖)見学の拠点である。この2つの登山口は観光地として、ごく最近から 世界自然遺産の認定をめざして整備されてきている。そのせいか、多くの中国、韓国の見学者がいた。

長白山のほぼ半分は中国側で残りの半分は北朝鮮にある。最高峰は将軍峰 (2744m)でこれは北朝鮮側にある。中国側の西坡山門登山口から長い階段を登りきると国堺を示す5号定戒碑(2470m)がある。碑は板状の石で一つ の面に「中国」と漢字で他面にハングル文字で「朝鮮」と彫られていた。国境に緩衝帯も有刺鉄線もなく、碑の朝鮮側にロープが張られていた。それで朝鮮側に 簡単に入ることがでるので、少し入ってみた。

 一枚の 石碑で足りる 国境の 危ういバランス 今日は保てり

 

(2)

運よく天気がよくてこの定戒碑の辺りから美しい天池(ティエンチ)がよく見えてラッ キーだった。普通の見学者はここまでで、縦走路に行くには特別の許可がいる。当日は縦走を許可されているのは我々のパーテイのみということであった。ここ から火口壁を時計まわりに、ほぼ半周して北坡山門登山口にある長白山温泉まで下りる。

長白山はまだ噴火の可能性がある巨大な火山で、火口の直径は約4kmあり、高千穂のお鉢(約0.5km)の10倍近くもある。ここは霧島連山と似ていて、火口はお鉢に、湖は大浪池にそして火口壁は韓国から北峰に至る壁に似ている。海抜は1000mほど高い。

縦走路は5号定戒碑から天池を眺めながら火口壁を歩いて魔天峰(2631m)、青石 峰(2662m)を経由して白雲峰(2691m)の手前でキレットを避けていったん登山口より低い水場(2160m)まで下りる。そこから登りかえして白 雲峰をまいて、鹿鳴峰(2603m)を経由して龍門峰(2596m)に至る。ここから、天池の唯一の水の出口である塔門が見えた。最後は尾根から沢に急坂 を下りて縦走の終わり。最後の道はちょうど沢登で滝をまいてまた沢に下りるときの道(?)と同じでこれが40分もかかるほど長い。縦走は予想していたより もハードで距離は18.5km(27000歩)で8時間掛った。滑落すると大変な事になる火口壁もかなり長かった。

 大陸の ランドマークや 長白山 夏のガレ場に やがて雪ふる

 

 

 

(3)

この縦走の初めのあたりで、小銃とピストルを携帯している若い中国兵3人にパスポー トの提示を求められ調べられた。現地のガイドによると昨日は北朝鮮から薬草の盗掘のために越境した者がいて一部は逮捕され残りは逃亡したそうだ。また、尖 閣島の領有問題で騒ぎが起きているのでタイミングが悪かった。バスなどでも大きな声で日本語を喋らないように注意された。

翌日は北坡山門から園内シャトルバスで天文峰(2670m)の展望台に行き北側から 天地を眺める。この日も天気がよく綺麗に見えた。よく見えるのは5回に一度ぐらいで、雲がかかったり、雨で池が見えない日が多いそうだ。毛沢東など要人が よく来たが見えない時が多く、ケ小平は運よく3回目に見ることができたそうだ。

韓国の檀君神話と日本の建国神話は似ているそうで、「檀君の建国神話は、日本の建国神話の母胎」と題した学術会議が開催されたそうだ(2010年)。「天孫が空から降りる韓国と日本の神話には類似性が多い」(上田 正昭)とのこと。今回、実際に長白山と天池を見て、それが霧島連山とお鉢に似ているのに僕自身も驚いた。大陸ではいろんな民族がせめぎ合い国境も流動的だ。(27000歩、18.5km、1120cal)

 建国の 神話を生みて しづもれる 天地を崇む 民は漂う

 

 

その他の写真

 

 

 

 

今も使われている旧満鉄

鉄道の橋:白は北朝鮮、赤が中国

中・朝国境の町図們